幸せな結末

理恵は慣れた手つきでコーヒーを淹れていく。
はじめは自分用のコップに淹れる。次が朝陽の。朝陽は薄いブラックコーヒーが好きで、二回目くらいがちょうどいい濃さになる。
そして理恵が自分用に淹れたコーヒーには横で朝陽がクリープをたっぷり、お砂糖を少し入れてくれる。

朝陽が好きだったお店のコーヒー。いつの間にか理恵も好きになって家にストックするようになっていたコーヒー。朝陽は薄めのブラック。理恵はクリープたっぷり砂糖少なめ。

この淹れ方は二人一緒じゃないとできない淹れ方だった。

ソファで二人並んでコーヒーを飲む。
「こうでなくちゃな。」
朝陽が嬉しそうにコーヒーを口にする。
理恵も朝陽がちょうどいい甘さにしてくれたコーヒーに微笑みながら口をつけた。
「おいしい」
「あぁ。」
二人はなつかしさの中に少しの切なさを感じながらコーヒーを飲んだ。