「和田さん、血圧を測ってお待ちください。」
「はい」
廊下で血圧を測るとき朝陽がすっと理恵のカバンを持ってくれた。
「ありがとう」
そんな行動ですら前は当たり前だったのに、今では他人行儀・・・。

「低すぎだろ。具合悪いか?」
血圧があまりに低くて朝陽がもう一度測るよう言った。
それでも、二回目の数値もかなり低くて結果を見た朝陽は血圧を測り終えた理恵の腕を支えて椅子に座らせた。

「大丈夫だって。数値のわりには自覚症状ないから。」
理恵が微笑んで見せても朝陽は険しい表情のままだった。

「和田さん、採血しますね」
診察室に呼ばれて理恵が部屋に入ろうとすると朝陽も一緒に部屋に入ってきた。
「・・・?」
家族じゃないのにと理恵が朝陽を見る。でも看護師も以前一緒に来ていた朝陽を知っているからか朝陽をとめない。