幸せな結末

「すぐしたくするから・・・。」
朝陽の前にコーヒーを置いて理恵が寝室で支度を始める。
着替えを済ませて洗面所へ向かおうとすると朝陽が淹れたコーヒーを飲み懐かしそうな表情をしているのが見えた。
ほかの誰かが今は朝陽にこうしてコーヒーを淹れてくれているかもしれない。

化粧を済ませた理恵は「ごめん。おまたせしました。」と朝陽の前に立った。

コーヒーカップの中身はからになっている。
「コーヒーごちそうさま」
「いいえ。」
朝陽は立ち上がり先に玄関へ向かった。

そのすぐ後ろを歩きながらその距離に理恵は再び泣きそうになる。

触れられそうで触れられない・・・。