「ほら。」
朝陽が座席に座る理恵に水を渡す。
「ありがとう。」
旅行中も理恵は決まった時間に薬を飲まないとならない。
朝陽は自分の携帯にアラームを設定していた。
「大丈夫か?」
「大丈夫だよ。最近調子いいんだから。」
「でもなんか最近痩せただろ?」
「そう?」
朝陽は理恵をよく見ている。
そんな朝陽に自分の考えていることが悟られないようにと理恵は必死だった。
「ま、無理しないで楽しもうな。」
「うん。楽しみだね。」
「あぁ。初日は函館観光だな。」
「うん。海鮮丼だね。」
笑顔の理恵に朝陽も張り切ってガイドブックを見る。
「でも、休み、よくとれたね。」
「あぁ。頑張ったからな、最近。」
「でも帰ってからが大変なんでしょ?」