幸せな結末

朝陽なりに一生懸命自分をフォローしてくれていることが理恵には伝わる。
「だからさ、俺たちが幸せだって思えてる今を母さんにもわかってほしいんだ。もしかしたら、子供がうまれるかもしないし、生まれないかもしれない。どっちにしても、俺たちの幸せを応援してほしいんだ。」
朝陽の言葉に母は一瞬間を置いてから答えた。
「わかった。私も理恵ちゃんみたいなできたお嫁さん、あんたにはもったいないと思っていたくらいよ。だからわかるけど。でも子供がいたにこしたことはないからね？」
「その時は一番に報告するから、それまでは変なプレッシャーかけないでくれよ。」
理恵は唇をかみしめて、自分の瞳に浮かんだ涙を手で拭った。

「お義母さん、とってきましたよ」
台所へ入る前にわざと声を出しながら理恵は台所へ戻った。
朝陽が理恵の顔を見つめる。
理恵は何も聞いていないというような表情で朝陽を見た。

朝陽の実家からの帰り道。運転する朝陽の横顔を見ながら理恵は考えていた。

この先もしも子供ができなかったら、朝陽はどう思うのだろうか・・・。

こんなに優しい朝陽が父親になる姿を見てみたい。