極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~


 けっこう時間が経っているのに、どうしてこうも見つからないのか。

 今の居場所がわからなくても、途中でどこを通ったかぐらい、わからないのか。

「もしかして、裕ちゃんは聞いてるのかな」

 調査の途中経過くらい、裕ちゃんは知っていることだろう。探偵だって報告の義務があるはずだ。

 でも私にそれを話してはくれない。

「なんか、引っかかるんだよなぁ……」

 見つかるまで報告する必要はないと思っているのか、いらぬ心配をかけまいとしているのか。

 定かではないけど、裕ちゃんが私に何かを隠しているような気がしてならない。

 悶々と考え込みながら元のルートを戻り、電動自転車に乗って家路に着いた。


 マンションに着いたときは、久しぶりの運動で足がだるくなっていた。

 のろのろとエントランスに近づくと、物陰から何かが飛び出す。

「こんにちは、お義姉さん」

「ひいっ!」

 でた、赤い夕陽に照らされるおさぼりマン!

「お昼も来たのにいなかったから、心配しちゃったよ」

「あ……あ……」

「さ、中入ろう。今日はもう職場に戻らなくていいんだ。夕飯食べていっていいよね?」

 時計を見ると、夕方四時。

 マジか。こんなにがんばって外を歩き回っていたのに、義弟の襲撃から逃れられなかった。

 どっと沸いた疲労感に押しつぶされそうになる。