極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~


「私、何してるんだろう……」

 落ち着いて我に返ると、ふと虚しくなる。

 目的もなく歩き、その先に何が見えるというのか。

 急に哲学的になってしまった。

 他のことを考えようとすると、途端に首を絞められているような息苦しさを感じた。

 雨が降ったら、どうしよう。スポーツジムに登録したいけど、名前とか身分証が必要なところはできるだけ避けたい。

 そうだ、映画を見に行けばいいか。

 今まであまり足を延ばさなかった、美術館や博物館にも行ってみようかな。公営体育館の器具を使って運動するのもいい。

 でも、そうやって一日一日を潰していった先に、私に何が残るのだろう。

 仕事もできない、結婚もしていない、彼氏もいない、イタイおばさんになって……。

 嫌だ、こんなの、ただのニートじゃないか。

「羅良、早く帰って来ないかなあ」

 空になったペットボトルを握りつぶし、ゴミ箱に捨てた。

 ゆっくりと歩き、元来た道を戻る。

 それにしても、羅良はどこに行ったんだろう。

 うちが雇う探偵はまだしも、裕ちゃんが依頼する捜索網は伊達じゃないと思うんだけどな。

 絶対に守らないといけない秘密だから、裕ちゃんが信頼できるところに依頼しているだろう。