極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~


 その日から私は本当に、一日中外に出ることにした。

 朝早いうちに掃除と洗濯を済ませ、ランニングウェアに着替えた。

 念入りに日焼け止めを塗り、キャップを被る。

 持ち物は鍵とスマホだけ。

 ランニングシューズを履き、電動自転車で、少し遠くの広い国立公園まで。

「完全に暇な主婦……っていうか、定年後のおじいちゃんね」

 同じように平日の朝から歩いている人を見かける。そのほとんどが老人だ。

 私はあてもなく、公園の中を歩き回った。

 歩いているうちに楽しくなってくる。

 重なり合った葉っぱの影。季節特有の地面の香り。

 ベビーカーの中で眠る赤ちゃん。散歩する小型犬。

 特に変わった景色がなくても、すべてが新鮮に感じた。

「やっぱり家に籠っちゃダメなのね。私の場合」

 疲れにくいよう、フォームに気を付けて歩く。

 背筋を伸ばし、腰から出ることを意識し、腕を大きく振る。

 ちょっとお腹が空いたかも、とスマホを見ると、もうお昼だった。

「楽勝! あっと言う間じゃない」

 やっぱり私は、動いていることが好きみたい。家事をするのは嫌いだけど。

 さすがに喉が渇いて、スマホ決済できる自販機で水を買って、ベンチに座った。

「はあ……」

 水が美味しい。自由な空気、最高。

 静かな平日昼間の公園。目の前をハトがよちよち歩いている。