夕方。
「見つからない~……」
帰ってきた私は、ぐでんとリビングのソファに寝そべった。
朝から何も食べず、羅良を探しまくった。
まず警察に失踪届けを出し、友達の家を一件一件訪ね、銀行やコンビニ、駅を走り回った。
しかし、羅良の手がかりは未だつかめていない。
「探偵の方は?」
「引き続き調査中だが、なにせ急な話だから、まだなんとも……」
同じく疲れた顔の父が、ダイニングテーブルに突っ伏した。
「どうしたらいいの。明日は結婚式なのよ。希樹と違って、羅良は今まで私たちに反抗したことがなかったのに……!」
父の隣でおいおい泣く母は、完全に調査の足手まといなので、一日中家で留守番をしていた。
「いやだ、冗談よ」って羅良が帰ってきてくれることを全員で期待していたのだけど、それは叶わぬ夢と散った。
時計を見ると、もう夕方六時。
外はすっかり暗くなっていた。羅良が明日までに見つかる可能性は、限りなく低いんじゃないかと思えた。
「一度裕ちゃんに連絡を──」
スマホを取り出したとき、インターホンが鳴った。
「羅良っ⁉」
全員で壁のモニターを見て、青ざめる。
そこには、長身の男がひとり、難しい顔で立っていた。



