翌日。
早起きして最終調整。
掃除は昨夜がんばったから、今朝はちゃんと化粧をし、裕ちゃんにもらった服を着る。
鏡の前で、羅良に近づいた自分に見惚れている時間はない。
朝から台所に立ちっぱなしの裕ちゃんが、オーブンに丸鶏と野菜を並べたものを入れる。
「これが焼きあがるまで、他のことをやるぞ」
「はいっ」
炊きあがったばかりのご飯を酢飯にして、昨日作って置いたトッピングを乗せ、ちらしずしの出来上がり。
あとは、肉じゃがや汁物を温め、果物を切り、生野菜をちぎってサラダにするだけ。
「なんか、ジャンルがバラバラじゃない?」
ちらしずしと肉じゃがは和だけど、他は洋。これぞ和洋折衷。
「美味しければいいんだよ」
裕ちゃんが時計を仰ぎ見る。
もうすぐ義両親が来る時間だ。
時計の針が進むたび、緊張感が高まっていく。
そして、12時ちょうど。ついに、インターホンが鳴った。
「来たな」
まるで敵を待ち受けるレンジャーみたいに言うと、下まで出向かえに行く裕ちゃん。
「奥さんは、最後まで料理の準備をしていることにするよ」
この度のおもてなしは、私が主体になって料理を作ったことにしてくれるらしい。



