「簡単だろ?」
「ソウデスネ」
たしかに作業自体に難しいものはないし、味付けもシンプル。
でも、緊張しすぎてもう疲れちゃったよ。
「あとは、材料の仕込みだな。さあ、エビの殻を剥いて。干しシイタケが戻ったら切る。あ、汁は捨てるなよ。出汁になるから」
ふたりでキッチンに並び、話をしながら手元を動かす。
「うん、綺麗に剥けてる。きぬさやの筋取りも上手だ」
包丁だけは緊張したけど、それ以外は楽しくできた。ところどころで裕ちゃんが無駄に褒めてくれたからだ。
料理を楽しいと思える日が来るなんて。
仕込みを終え、日が暮れかけた頃、インターホンが鳴った。
「宅配だ」
「何か注文しているの?」
「まあね」
もしや、お取り寄せの美味しい食べ物や果物だろうか。
裕ちゃんが宅配業者さんから受け取った箱の周りをウロウロする。
「開けていいよ」
「わーい!」
いくつになっても、何が入っているのかわからない箱をオープンするのは楽しいものだ。
ガムテープをはがし、ダンボール箱の中を見た私は、動きを止めてしまった。



