「俺は好きだけどね、そういう格好も」
「へ」
「希樹はずっと走っていたから、ふくらはぎの形が綺麗だ。それがよく見えていい」
私は思わず、テーブルの下で自分の足をなでた。
陸上部のふくらはぎは子持ちししゃもみたいで、ちょっとしたコンプレックスだった。
社会人になってからは、羅良みたいなほっそりした人形のような足に憧れたものだけど。
「そ、そかな」
「それに、そういうスポーティーな服を脱がせたとき、少女のように恥ずかしがる顔を想像するとたまらない。ギャップが最高だ」
「ぬっ!?」
自分の耳を疑う。
裕ちゃんは相変わらず、自然な表情でコーヒーを飲む。
「空耳か……」
幻聴が聞こえるなんて、疲れているのかな。
コーヒーカップを持ち上げたとき、裕ちゃんが真面目な顔で言った。
「どうかな、今夜あたり」
「空耳じゃなかったー!」
Tシャツ&ジャージ女子を脱がせる想像……ギャップ萌え……。
私の中の「完璧な裕ちゃん」像が、少し崩れた。
「勘違いするなよ。誰でも想像するわけじゃない。ちゃんと希樹の顔を想像して……」
「やめてやめてやめて! 聞くに堪えない!」
私は大きな声を出し、両耳を手で塞いだ。



