奥様達に見られているような気がして、自分の格好を顧みる。
今日も迷わずスポーティーな私が、このスーパーに合っていないから見られるのか?
しかしよく見ると、彼女たちの視線は私を通りすぎ、その背後の裕ちゃんに向かっていた。
長い手足、優雅な身のこなし。
しかも顔が俳優のように整っている裕ちゃんを、奥様達はちらちらと盗み見ていた。
やっぱり、裕ちゃんはすごい。
どこかしら人を惹きつけるオーラは昔からで、歳をとるごとにだんだん強くなっている気がする。
じゃなきゃ、副社長なんて務まらないのかも。選ばれた人間なんだな。
「希樹、お菓子とかパンとか見てきて」
「えっ?」
そわそわしているのを気づかれたのか。ビックリして裕ちゃんを見上げる。
「時間が惜しいから。仕事を分けよう」
そうか。裕ちゃんはメイン料理を考えるのに忙しい。私はランチの後で出すお茶菓子を探してくればいいのね。
納得はしたけど、少し寂しくなった。
ふたりで色々な食材を選ぶの、楽しかったのにな……。
もしかして、こんな格好の女と夫婦に見られるのが嫌なのかな?
「どうした?」
顔をのぞきこまれ、ハッとした。
自己嫌悪に陥っている場合じゃない。陥るなら、時と場所を選ばなきゃ。



