「ぐううっ。それはごもっともだけど、そもそもこうなったのも、お母さんたちのためじゃん。協力してくれてもよくない?」
言いながら、とても嫌な言い方だと、自分でも思った。
料理を作れないのは自分にやる気がなかったせいなのに、それを母のせいにするなんて。
気まずい沈黙のあと、母が切りだす。
『協力しないとは言ってないわ。教えてあげるから、一緒に作りましょう』
「そうでなくっちゃ!」
私はひとりで飛び跳ねた。
助かった。これでなんとかなりそうだ。
『まず、裕典さんにご両親の好物を聞いて、メニューを考えなさい』
「はい」
土曜日に母が来報してくれることになり、ホッと安堵して電話を切った。
これで一安心……でもない。
私は、またすぐに母に電話をかけ直した。
『どうかした? ひとりで頑張る気になった?』
「そんなわけないじゃん。あのさあ、今日の夜ごはん何にしたらいいと思う?」
一拍遅れて、母の盛大なため息が聞こえてきた。



