「お休み、俺の奥さん」
低い声が耳をくすぐり、身を震わせる。
ぎゅっと目をつむり、次に何をされるのか身構えた。しかし。
すぐに、すうすうと規則的な寝息が聞こえてきた。
まさか、私を抱き枕にして、寝ちゃった……。
「はああ……」
安堵のため息をつき、体の力を抜く。
ああ、温かい。人の体温って、こんなに気持ちのいいものだったんだな。
裕ちゃんは、どこかに行ってしまった羅良のぬくもりを、必死で手繰り寄せようとしているのかもしれない。
そう思うと、申し訳なくなった。
しばらくはドキドキしていたけど、落ち着いたら眠くなってきた。
なんと私は無防備に、裕ちゃんの腕の中で眠ってしまったのだった。



