「寝室はこっち」
招かれるままついていくと、部屋の中には大きなベッドが。
そこで半分夢の中にいた私は、覚醒した。
「あれ、私の部屋はあっち……」
私の部屋と言われた場所にも、ベッドがあった。そこで寝るはずじゃ?
きょとんと首を傾げると、裕ちゃんの方も不思議そうな顔をしていた。
「は? 新婚夫婦が別々に寝るわけないだろ?」
「ええ?」
「あれはどっちかが体調を崩したりしたときの緊急用ベッドだよ。基本はこっちで一緒に寝る。当り前じゃないか」
「ええええー!?」
たしかに、新婚夫婦が別の部屋で寝るのははたから見たらちょっと寂しそうだけど。
「でも私、身代わりっていうか、影武者っていうか」
本当の妻じゃないのに!
急にブラジャーをつけていないことが心細く思えてきた。
下着一枚分でも、薄着でいることが心もとない。
「いいや、お前は俺の妻だ。普段からなりきれと、何度言わせる」
きりりとした顔で、決然と言い放つ裕ちゃん。
「はううう」
普段からなりきらないと、いざという時ボロが出る。
陸上でいえば、普段の生活や練習のすべてが、結果に繋がる。それと同じだろうか。



