創立八十周年を迎える、歴史と伝統ある校舎がまぶたの裏に広がる。
ああ、懐かしい。私と裕ちゃん、そして羅良が一緒に通った高校だ。
古い校舎は、いつもどこかを改修していて、やけに綺麗で新しい校舎と、シミと塗装のひび割れが目立つ汚い校舎が同じ敷地に同居していた。
裕ちゃんは二歳年上。三年生になった裕ちゃんは、学校中の女子の憧れの的だった。
幼なじみだからといって、人前で馴れ馴れしくすると、必ず校舎裏に呼び出された。
『あんた、星野くんのなんなの? 一年生のくせに、マジ目障りなんだけど』
『いえあの、ただの幼なじみで……』
物事をはっきり言える性格の私でも、大勢の上級生に囲まれたのは、さすがに怖かった。
裕ちゃんとの間に何もないことを説明しようと、正直に言ったのがまずかった。
『幼なじみですって!?』
『許せないッ!』
彼女たちはハンカチを噛んで引き裂きそうな勢いで、キイキイ唸る。
まるでケンカをする動物園のおサルさんみたいだと思ったけど、もちろん黙っていた。
『星野くんを小さい頃から知っているなんて、そんな羨ましいこと……いいえ、卑怯。卑怯は悪いことよ。いい? 明日星野くんの幼少時代の写真をたっくさん持っていらっしゃい。データでも構わないわ。そうしたら許してあげる』



