一時間後。
薬局に寄って帰ってきた私は、途方に暮れていた。
トイレのあと、妊娠検査薬に、陽性反応を示す縦線が現れたからだ。
「どうしよう……」
「どうしようじゃない。産んでくれ。他の選択肢はない」
裕ちゃんはすぐにどこかに電話をかけ始めた。
星野グループの情報網で、評判のいい産院でも探しているんだろうか。
何も考えることができず、ぼーっと待っていると、通話を終えた裕ちゃんが言った。
「今から両親がここに来る」
「えっ」
「希樹が妊娠したって言ったら、「すぐに行く」だと」
まさか、おろせって言いに来るんじゃないでしょうね。
体中の産毛が逆立つようだ。
警戒心をむき出しにする私に、裕ちゃんは笑顔で言った。
「妊娠したなら、仕方がないってさ」
「え? なにが?」
「だから、やっと俺たちの結婚を認めてくれるんだと。世間体を気にする人たちだからな。なんだ、最初からこうすればよかったのか」
やけにスッキリした裕ちゃんの方こそ、赤ちゃんを産み落としたあとのような顔をしている。
「待って。なんだって?」
「だから。やっと結婚できるんだよ、俺たち」



