「あ、あれ……」
胃からせり上がる不快感に、思わず口元を押さえた。
近くの席にいる、派手なお姉さんたちの香水と化粧品の香りがぷんぷん匂っている。
甘ったるいその匂いが、不快感の原因のようだった。
「大丈夫か」
「ん……ごめん、外でもいいかな」
テラス席がちょうど空いたので、そっちに移動した。
「寒くないか?」
「いや、こっちの方が楽。はあ、どうしたんだろう」
水を飲んで落ち着く。
普段から他人の香水や化粧品の匂いが強いと気になる方だったけど、嘔気を催したのは初めてだ。
「……ポテトは食べられそう?」
「うん。そうだ、ポテトポテト」
ハンバーガーよりポテトをメインで食べたい。
メニューをめくってポテトを探していると、裕ちゃんがハッとひらめいたような顔をした。
「ちょっと待て。秘書課の長瀬さんが最近、寿退社したんだ」
「え、そうなの。おめでたいね!」
数日しかお世話にならなかったけど、今となってはいい経験をさせてもらったと思う。
しかもあの堅物そうな長瀬さんかあ。相手はどんな人だろう。
妄想している私の頬を、裕ちゃんがつまむ。
「できちゃったんだよ。長瀬さん」
「でき……つまり、赤ちゃんが?」
裕ちゃんは神妙な顔でうなずく。



