極秘新婚~独占欲強めの御曹司と突然夫婦になりました~


「さあ、帰ろう」

「うん」

 礼服を着た裕ちゃんは、いつものスーツとちょっと違う。やっぱりかっこいい。

 車に乗り込み、マンションへ帰る途中。胸に抱いたブーケを見て、裕ちゃんが言った。

「俺たちもそろそろ、けじめをつけたいよな」

「ん? うん……」

「前にも言ったけど、俺は実家と縁を切ってもいいと思ってる」

 同じ話が出る度、胃が痛くなる。

 重くなった空気を取りなすように、裕ちゃんが言った。

「腹が減ったな。何か食べて帰ろう。何がいい?」

「そうだね。じゃあ……」

 なぜか今、無性にフライドポテトが食べたい。

 有名なファストフード店の名前を挙げると、裕ちゃんは何度もまばたきした。

「珍しいな。希樹、あまり脂っこい物食べないのに」

「うん……泣きすぎてカロリー消費したのかな。体がカロリーを求めてる」

「へえ。まあたまにはいいか」

 裕ちゃんは私の希望を却下せず、だけど有名チェーン店よりは少しオシャレな、ハンバーガーも置いてあるカフェに連れていってくれた。

 しかし日曜の昼食時。店内は若い女性やカップルでにぎわっていた。

 さあ、ポテト食べるぞ。

 意気込んで案内された席に向かうも、突然気分が悪くなってしまう。