「ここ、なに?」
きょろきょろするうちに、裕ちゃんは受付のお姉さんと話していた。お姉さんは愛想のいい日本人だった。
「どうぞ、こちらへ」
案内されるけど、今から何をするのか説明をしてくれない。
「ねえ裕ちゃん、そろそろ種明かしして……」
彼の腕をつつくと、目の前の扉が開けられた。
中には、真っ白なウエディングドレスが。驚いた私は、目をぱちくりさせるしかできない。
「羅良が計画したんだ。ハワイで、自然な表情の写真を撮るといいよって」
「羅良が……?」
「最初から、自分が行く気なんてなかったんだ、あいつは。俺とお前でいかせるつもりだった」
中に入ると、羅良が選んだというドレスの前に、鏡や化粧品が置いてある。
「結婚式は緊張で引きつっているだろうからって。思い出に、ふたりの良い写真が欲しいだろってさ」
聞いているだけで、泣きそうになってきた。
両親に従順なふりをして、実は今回一番わがままを通した羅良が、私のためにそんな計画をしてくれていただなんて。
「だから、無理にでも新婚旅行は行くつもりだったんだ」
最初の頃、どうして羅良がいないのに、身代わりの私とわざわざハワイに行こうとするのか、不思議だった。
泣きそうになった私の頭を、裕ちゃんが引き寄せた。
「ダメだって。今泣いたら、記念写真のまぶたが……」
「それは嫌!」
「だろ。一番綺麗なお前を見せてくれよ」
柔らかく笑った裕ちゃんが、部屋を出ていった。



