「私も」
やっと、素直になれた。
ぎゅっと抱きつくと、裕ちゃんに引っぺがされた。ショックを受けていると、顔を覗き込まれる。
「ちゃんと言えよ」
「え?」
「私も、じゃなくて」
最初、裕ちゃんの言っている意味がわからなかった。やっと理解すると、顔から火が出そうになった。
「……大好きだよ、裕ちゃん」
声が震えた。人生で最初の愛の告白。
聞いた裕ちゃんは、にっこりと笑った。目が、糸みたいに細くなった。
「知ってる? 希樹。この身代わり結婚は、最初から俺と羅良が仕組んだことだったんだ」
「え? どういうこと?」
「鈍感さんに、俺のことを無理やりでも意識してもらおうって、羅良が言いだした。俺は彼女の失踪の手助けをし、探偵を遠ざけた」
鈍感さんって、もしかしなくても私のことか。
裕ちゃんは最初から羅良の居場所を知っていて、探す気なんて毛頭なかった。
そして、うちの両親が雇った探偵の調査を妨害した。
羅良が言っていた「探偵がうろついてる」っていうのは、多分裕ちゃんの両親が差し向けたものだ。
さすがの裕ちゃんも、全ての追手を遠ざけることはできなかったんだ。



