期待されて全て背負わされた俺の苦労も知らず、いつも被害者ぶりやがって。
「わかったよ。じゃあな」
通話を切り、スマホをバッグの中に放った。
健太郎の言うことに一理ないとは言えない。
うちの両親だけでなく、向こうの親も気が立っている。特にお義父さんは、母のことを許さないだろう。
どうしたら許してもらえるか。もう一度、希樹に会いたい。
スマホでこっそり呼び出したとして、来てくれるだろうか。
俺はお前が好きだとはっきり言ったのに、嘘つき呼ばわりされたしな。
思わず苦笑が漏れた。
お前はバカだよ、希樹。
好きじゃなければ、一緒に暮らせるわけないじゃないか。
キスや添い寝を強要したりもしない。
どうしてお前は、俺がお前のことを想っているかもしれないと、ほんの少しでも考えてくれないんだろう。
もう一つため息を落とし、ハンドルを握りなおしてエンジンをかけた。
俺はマンションに向かい、車を発進させた。
昨夜は全然眠れなかったから、今夜は寝て、頭をスッキリさせるか……。
玄関を開けると、中から明かりが漏れてきた。
なぜだろうと思う前に、目を見開いた。
玄関に見覚えのあるパンプスが、そろえて置いてあった。
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