そうだ、私の少ない道具は全部、裕ちゃんの家に置いてあるんだ。
気を取り直し、羅良の部屋に残されたものを有効活用した。
美容オタクでもあった羅良が残していった、何段もあるケースに入った色とりどりの化粧品やアクセサリー。
クローゼットにかけてある、ひらひらした走りにくそうな服たち。
私はこれまで、キラキラしたものを避けてきた。
頑張ってキラキラしたところで、羅良と比べられてディスられるのはわかりきっている。自分が女性として劣っているのを思い知るのが、辛かったからだ。
でも、もともとは同じ遺伝子、同じ顔の私たち。
努力した者が人生に勝つんだ。もう、誰に気兼ねすることもない。自己否定している場合でもない。知らん顔で勝てばいいんだ。
私は結婚生活中の暇な時間にスマホで集めた知識を集結させ、顔を作り込む。
羅良の真似をする必要はない。
私は自分が好きだと思える自分になりたい。
三十分後、鏡の前に写った自分をのぞきこむ。
「いい感じじゃない?」
派手すぎない、けど手をかけたナチュラルメイクが完成した。



