羅良は、すぐに裕ちゃんから連絡があるだろうと、言った。

 そのとき、何を聞こう。何を確かめよう。

 頭の中を整理しようと思うほど、こんがらがっていく。

 なかなか眠れなくて、明け方になってやっと、まどろみが訪れた。

 気が付けば、私はまた夢の中にいた。

 懐かしい、高校の校舎だ。

 男らしかった私は部活に打ち込み、クラスでも友達がたくさんできた。

 毎日、些細なことで笑いあっていた。今考えればくだらなすぎることにも真剣になっていた。

 羅良が死にたいと思うほど悩んでいるなんて、想像もしていなかった。

 ただ、苦手だったのは勉強だ。

 いつも赤点ギリギリの低空飛行を続けていた私は、さすがにヤバイと思い、図書室で勉強することにした。

 塾に通ったり、家庭教師をつけている子が多いせいか、図書室は空いていた。

 勉強面に関しては、中学で完全に両親にも教師にも見切られていた。

 そんな私が羅良と同じ高校に通えたのは、スポーツ推薦枠で合格したから。

「うう~。意味わからない~」

 数学の問題集を開くけど、解答どころか、質問の意味が分からない。

 家に帰れば、成績優秀な羅良がいる。だけど、私がテスト週間ってことは、羅良だって同じ。邪魔をしたら、迷惑をかけてしまう。