長い回想だった……。
翌日、式場の控室で、私はまじまじと鏡をのぞきこむ。
まだ、自分に起きた出来事を信じきれずにいた。
「新婦さん、そろそろスタンバイのお時間です」
控室の扉が開いて、パンツスーツの女性スタッフが笑顔で話しかけてくる。
「……は、はーい」
一瞬、自分が呼ばれていることもわからなかった。大丈夫か、私。
普段ほとんど履かないハイヒールで、よちよちとスタッフについていくと、ちょうど新郎控室から出てきた裕ちゃんと出くわした。
「わぁ……!」
裕ちゃんはネイビーのタキシードを着ていた。
タキシードって、一般人が着るとどうしても面白くなってしまいがちだけど、裕ちゃんは長い手足を持つ長身イケメン。まるでモデルのようにバシッと決まっている。
子供の頃から女子にキャーキャー騒がれてきただけあるなあ。
素直に賛辞を送ると、裕ちゃんはにっこりと目を細めた。
「お前こそ、可愛いよ。今までで一番綺麗だ」
裕ちゃんは背を屈めて私の肩を引き寄せ、むき出しになったおでこにキスをした。
「ひやっ」
ビックリした私はおでこを押さえて硬直してしまった。
顔が熱い。いや、全身が熱い。



