あくる日もあくる日も、私は雑用に……明け暮れていなかった。
「郵便局行ってきましたー!」
「お疲れさまです」
「ありがとうございます」
本当に簡単な雑用か、おつかい程度しかしていないので、共働きといえども体力が有り余っている。
「掃除しましょうか掃除!」
掃除機を使うとうるさいので、外出する途中で掃除のおじさんに分けてもらった、レモンの香りがする洗剤を薄めたスプレーを吹きかけ、モップでこする。
「奥様、そんなことまでされなくても。私たちが……」
若い秘書が声をかけてくる。
「いいんです、いいんです。みなさんお忙しいので。あと私のことは、星野と呼んでください」
調子に乗って拭きまくっていたら、外出から帰ってきた秘書がヒールをならしてデスクに戻ろうと思い……。
「きゃっ!」
足元が滑って、お尻から派手に転んだ。
そういえば、掃除のおじさんがあまりレモン洗剤を吹きかけすぎると、滑るかもって言ってたんだった。
「ごごご、ごめんなさい! 怪我は?」
「ああ、いえ、大丈夫です。気になさらないでください」
秘書さんは笑って許してくれた。
けれど、お尻を痛そうにさすっている。



