「あと、働く場所は俺が決めさせてもらう」

「はい。それはどこでしょう?」

 ドキドキしながら聞くと、上半身裸の裕ちゃんが言った。

「うちの秘書課。つまり俺の監視下で働いてもらう」

「えっ、秘書! 私にできるかな」

「三時までのパートで、雑用だけ。秘書たちの補助ってところかな。どう?」

 さすがに、いきなりやったこともない秘書ってわけにはいかないか。

 ちょっとガッカリしたけど、自分に実力がないのだから仕方ない。しかも、本当の身分を隠して働くんだから、それが精一杯だろう。

「うん、やる」

 私はこっくりとうなずいた。

「辛かったら、午前だけでもいいけど」

「三時までで」

 三時に仕事を終えられれば、五時には買い物をして帰ってくることができる。裕ちゃんが返ってくるのが平均八時だから、それまでに夕食を作ることも可能だ。

「わかった」

 裕ちゃんはうなずき、服を脱ぐ手を止めた。

「……ずっとそこにいるけど、一緒に入りたいのか?」

 そう言われて、ハッとした。

 ここは脱衣所で、裕ちゃんは今から、お風呂に入る。

 むきだしになった上半身は、ちゃんと男らしい筋肉で覆われている。薄く割れた腹筋が眩しい。