試しに立ってみたけれど、普通に立てる。

「よかった。歩けるか?」

「は、はい!」

2・3歩歩いてみるが、どこも痛くない。

「大丈夫みたいです。」

私がそう言うと、周囲に立っていた人達みんな、よかったと安心した。


「皆さん、ご迷惑かけました。」

私は去って行く人たちに、頭を下げた。

そんな私の腕を、やってきた車の運転手が、掴んだ。

「お姉ちゃん。後で頭を打っていたりしたら大変だから、俺達の車で病院に行こう。」

「病院!?」

「心配しないで。検査するだけだから。」


私の額から、汗がたらりと流れた。

この年末に、絶賛節約中の私が、病院で検査費用なんて、出せるわけがない!


「失礼。それは、私に任せて貰えますか?」

そう言ってくれたのは、あの私の好み、ドストライクの紳士だった。

「いいんですか?」

車の運転手も、あまりの展開に、何度も聞き返している。