一週間自分が泊まった部屋を見て自分がここになじんでいたんだなと改めて思った。





「準備できたか?」





棗が部屋に入ってくる。





「……うん。」





「どうした?」





優しく私を見つめてくるその漆黒の瞳は力強い光で溢れていて。





すぐ横に並んでいるのに頭一つ分高い彼を見上げる私は今までとは違う感情が自分の中にあることに気付いた。





しかしその感情がなんと言うものなのかが分からない。





「……なんでもないよ。」





そう言うと頭の上に温かい手が降り注ぐ。





「行くぞ」





「……棗!」





名前を呼べば無表情だがその裏に隠れた優しさを持っている彼が振り向く。





「……」




また連れてきてほしい……





しかし私にはそれを言う資格がないと思った。





だから……





「……連れてきてくれてありがとう。」





言葉を選びながら言えばさっと腕を引かれる。





トンっと額に当たったのは固いもの。





それが棗の胸元だと気付いたときにはしっかりと抱きしめられていた。





「また来よう。」





私が言いたかった言葉を貴方はなんの躊躇もなく言ってくれる。





胸の中がじわじわと熱くて締め付けられる感じがした。





しかしそれは苦しいわけでもない。





「うん!!」