朝目を覚ますと違和感に眉を寄せる。





時刻は六時半過ぎ。





何か可笑しい。





起きた時間ではない。




起き上がろうとしてその違和感の正体に気付く。





「……」





「……」





無言で棗と見つめ合う。





「…なんでいるの?」と私




「…夜中お前が俺の服を離さなかったんだよ」




それを聞いて私はため息をついた。よくやってしまう私の癖だ。




「ごめん。」




そう言って起き上がりベットから出ようとすると手を掴まれてグラッと視界が傾く。




「ッキャ……」




気が付けばまたベットに背中を預けており目の前には棗の恐ろしいくらいに整った顔があった。





「……何?」




「………まだ誰も起きないから此処にいろ」




そう言って棗は私の顔の横に自分の顔を埋める。




思わず全身に力が入ってしまう。




「だ、だけど朝ごはんを……」




「まだいい」




どうしたらよいか分からずしかし震えることもなく嫌とも思わなかった為じっとしていることにした。





「……少しは気が紛れたか?」





それが伯たちのことを言っていると気付き私は素直に頷いた。




「そうか」




今までに見たことない優しい笑顔を浮かべた棗の顔を思わずじっと見ていると





「……そんなに見つめていると襲うぞ」




「…」




直ぐに視線を逸らすと舌打ちされた。





それに思わず笑ってしまう。





「……よく笑うようになったな」





「そうかな?」





「あぁ。お前が笑うだけで俺達は力が湧く。だから……笑ってくれ。」




私はその時どんな表情をしていただろうか。