私の無視をものともせずずっと話しかけてくる。




端から見れば三人で話しているようだろう。



「だーかーらー。あれは僕じゃなくってアキラなんだってば!」




「絶対嘘だ~!アキラ甘いものそんなに食べないじゃんか!」




「じゃぁ敏次だよー。」




「敏次は昨日知り合った女の子の所に行ってたから居なかっただろ!」




「も~~助けてよ美幸ちゃーん。」




気安く呼ばないで欲しい。




しかしそんなことも言わない。




完全に会話をシャットダウンしている私は双子の言い争いなんて興味がない。




強いて言うなら黙れの一言だろうか。




「よー。お前らまーだこいつのこと諦めてないのかよ」




「あ、敏次。おはよう」




「そうだよー」




私は敏次が来たことで知らないうちに警戒をしていた。




「じゃぁ敏次も来たことだし美幸ちゃん、お願いだから僕たちと一緒に来て欲しいんだけど…」




「……」




「ねぇ無理かな?」




無理




可愛らしい顔をしょんぼりさせてまるで仔犬が落ち込んでいるかのように見える。




しかし見えるだけで何とも思わない。




「ねぇーー。ダメ?」




双子の片割れは目をうるうるさせてこちらを見上げている。




これまた捨てられた仔犬が拾ってくださいと言うような感じだ。




しかしそれも何とも思わない。




「お前さー。何も言わないとこれからもこれ、ずっと続くぜ?」




お前たちは暇人か




私は溜め息をついてしかし声を発することはしなかった。




そしてこの勧誘は恐ろしいことに1週間も続いた。