私には本当の両親が居ない。






私が5歳の時に火事で亡くなったから。





計画的な放火で私も狙われるかもしれないって事で私は極秘に施設に預けられた。





それからは施設で育ち私が7歳の時に里親に引き取られた先が立花家という。





お父さんにお母さん。







5歳離れたお兄ちゃんに一つ上のお兄ちゃん。





女の子が欲しいと思っていたお母さんの希望で私が引き取られるとこになったのだ。





お父さんもお母さんも優しかった。





5歳離れた兄の瑠依も優しく、一つ上の蓮は意地悪だったがよく面倒を見てくれた。





幼い私は直ぐに家族の一員になれたと思っていた。







それが変わったのはお母さんが死んでから。





元々子宮体癌だったことで子宮を切除したお母さんはもう子供が産めない体になってから、女の子が欲しいと思い私を引き取ってくれたのだ。





しかしその切除した癌は既に転移しており気付いたときには余命2ヶ月。





私は毎日病院に行き泣きながら帰るのを拒んでは瑠依と蓮を悩ませた。





お父さんはお母さんの前ではいつも通り頼りになる姿を見せていたが家では脱け殻のようにソファーに座り込み仕事にも行かなかった。






そして遂にお母さんが死んだ。





私は何故か病院にもお葬式にも出してもらえなかった。





家で一人ずっと泣いていた私はお葬式が終わった日、夜遅くに帰ってきたお父さんと瑠依、蓮に泣きついた。






そっと抱き締めて大丈夫だよ、と言って欲しかった。しかし返ってきたのは痛みだった。





頬を叩かれ壁に倒れ込んだ私をお父さんは感情のない目で見下ろしていた。





その後ろにいる瑠依と蓮も私を見ているようで見ていない。







「……お父さん……?」







倒れ込んだ私の前に座り込むお父さんは笑った。





「今日から四人でクラソウナ」





その声に私は恐怖を覚えた。