そこには一人の女子生徒を取り囲むように五人の女子生徒がいた。





女子生徒たちは全員赤いスリッパを履いている為、一年生だと分かる。






取り囲まれているのは驚くくらい目が大きくて可愛らしい顔をした少女。






取り囲まれていると言うのに力強く睨み付けるその目。





「ッアンタのその目がっ！！！」





一人の少女が手を振り上げる。





「…何やってるの？」





私が静かに言うとハッとこちらを見る一同。







「え？あれって美幸様じゃない！？」
「どうして一年の階にいるの！？」
「み、美幸様！これはっ」







私は一歩階段を降りた。






「多数に無勢は良くないな。私が相手をしてやろうか？」






無表情でそう言うと五人の女子生徒たちは謝りながら走って逃げて行く。






「……大丈夫？」





取り残された少女に声をかけると突然抱きついてきた。






「ありがとうー！！」






「え？」






「最近調子にのってるってずっーと絡まれてて。けど胡桃優しいから大人しくしてたの！」






可愛らしい少女はニコニコ笑いながら私に言う。





「貴女、棗の彼女の美幸ちゃんでしょ？」





随分と棗の事を親しげに言う胡桃と言うこの少女に私は戸惑う。





「胡桃ずっと会ってみたかったの！けど貴女なら棗が選んだ理由が分かるわ。」