当然のように抱きしめてくる棗に私の心臓はまたドキドキと煩くなった。





「な、棗……」




「なんだ?」





「近くない?」





「恋人はこうやって寝るんだよ」





「そうなの?」





「あぁ」





そう言ってさらに彼は私の手を握ってきた。





「……これも?」





「あぁ。」





恋愛経験のない私にはとてもハードルが高かった。





「……今日の事、話したくないなら話さなくていい。」







「……うん。」






「だが、話さないと解らないことだってある。だから……」






「ちゃんと自分の気持ちを整理できたら必ず話す」






棗が言う前に言った。






クスッと耳元で笑う声がした。






ギシッとベットがきしむ音がした。






「いい子だ。」





そう言ってまた唇が塞がれた。