髪をタオルで拭き始める棗を見て居心地が悪くなった私。





「あ、私皆のところに…っきゃ……」





この部屋に入ってきた扉に行こうとすると突然の浮遊感ののち、ボフンと柔らかい物に背中が当たった。





それがベットだと気付いたのは真上に棗が居たからだ。






「……?」





状況が理解できずにじーーと棗を見ていると直ぐに顔が近付きキスをされる。







「言っただろう?余裕がないって」






「?ベットは広いよ?」




私は自分の斜め上の考えに棗の頭が一瞬フリーズしたことに気付かない。






「……好きだ」






その迷いのない言葉に私は微笑んだ。






「……私も」






今度は優しく頭を撫でられながらキスをされる。






それをぼーーっとした顔で見ていると直ぐに顔を逸らされた。






「?棗?」






「……何でもない。」






そう言ってベットから降りる彼の顔が赤いように見えたのは気のせいだろう。





ふと私は恐ろしいことを思いだしキョロキョロと辺りを見た。





やっと時計を見つけ時刻を確認すれば





20時14分




さーーっと全身の血液が凍ったような感じがした。





「な、棗!!私帰る……」





しかし棗は落ち着いた声で言う。




「伯さんには無限が連絡してる。今日はこっちに泊まるって。」





「ほ、本当に?」





そう言うとまた頷く棗。





安心してまたベットに座り込んだ。






「腹は?」





「……減ってない」





「向こうに行くか?」





向こうとは先ほど私が行こうとした皆がいる部屋のこと。





少し悩んでからそっと首を振った。





今戻れば必ず私が逃げ出したことを話さないといけないから。





まだ頭の中を完全には整理できていなかった。






「じゃぁ寝るぞ」






そう言って彼は私をベットの中に入れて自分も入ってくる。