せっせと目星をつけた広告の商品に赤丸をつけていると、長岡くんと羽柴くんが声をかけてきた。


「何してんの?陽毬ちゃん」


「羽柴くん、おはよう。今日買う食品をチェックしてるの」


羽柴くんは私の隣に椅子を持ってきて座ると、広告を覗き込む。


「へ〜。陽毬ちゃん自分で買い物してるんだ」


「うん、まぁね」


婚約者と2人で暮らしてるから…とは言えない。


すごいねー、なんて言って広告を見ている羽柴くん。

悪い人じゃないんだけど、どうも私は彼が苦手。

ノリというか…。

キャラというか…。


今も距離が近すぎて。

肩が触れそうなほど近くに座る意味ないと思うのに。

避けても避けた分近づいてくるから嫌なんだ。


そんな感情が顔に出ていたのか、長岡くんが羽柴くんを叱る。


「おい、貴大。お前陽毬ちゃんに近づき過ぎ」


「そうか?そんなことないだろ」


え。

自覚ないの?

本当に?


「惚けんな、分かってんだろ。婚約者いる相手に迫ってんじゃねぇ」


長岡くん…。

やっぱり良い人。

もっとキツく言って欲しい。