「そう。皆の組織名は【朝】だよ」

ボスが私達1人1人を見渡しながら語り始めた

「この状況は―何も知らない優秀な高校生を裏社会の人間が狙う、暗闇で影の動く夜なんだ
でも、ここで皆が日輪(にちりん)になって、闇しか無い夜を明けさせる―つまり朝
皆は若すぎるよ。マフィアとして裏社会に入るなんて。まぁ、それを薦(すす)めたのは俺なんだけど…
マフィアに【朝】なんて明るい名前は似合わない。でも、皆は高校生。学生には未来があるんだ
だから、皆には友達を救って闇を祓(はら)う、【朝】になって欲しいんだ」

「【朝】…」

誰かが呟いた
【朝】…か
マフィアの口から、【未来】なんて単語が出るとは驚いた
父から聞くマフィアは、【未来】も【光】も、何も無い存在だった

「…素敵な名前を、どうも」

父の言うマフィアとは、少し違うみたい
素晴らしい名前を授けてくれたボスにお礼を言った

「…うん。これからよろしくね」

ボスが、にこりと、笑った



【mattina】――