「毎日毎日、屋上から地面を歩く人間を見下ろして何してるんだ?人間を見下してるわけじゃ……ないもんな」

はい、と答えれば、だよなという確信じみた声が聞こえる。

「いつもいつもすっごい笑顔で見てるもんなぁ、人間を。なんだ、そんなに興味を引かれるものでもあるのか?」

先輩も俺と同じように地面に視線を向けるが、まばらに目的地に向かって歩くだけの人間を見て首を傾げた。

目線の先で赤いランドセルを背負った女の子が前を歩いていた同じくランドセルを背負った女の子数人に合流する。誰かが面白いことを言ったのか、あはははと笑い声をあげながら固まって歩いていく。

そんな様子を見届けてから視線をゆっくりと地面から先輩へと向ける。