私はゆっくりとドアをあけ
恐る恐る顔を出した



男の子はまだドアの前にいたらしく
モジモジしている私に優しく微笑んだ



「良かったぁ」


「え?」


「俺のせいで
 帰っちゃったかと思ったよ」



キュン!

彼の笑顔に私の心がときめいた



ダメダメ、クララ!


夕方には魔法界に帰るんだから
人間界の男の子にときめいちゃダメ!


それよりも口止めしなきゃ!



「あの・・・
 今見たこと
 誰にも言わないで欲しいんですけど・・・」



「俺が言ったら困っちゃうんでしょ?
 それなら誰にも言わないよ」



え?

なんていい人!!



私を安心させるように
柔らかい笑顔を向ける彼に
私はどんどん吸い込まれてしまう



これ以上彼と関わったら危険だ!



「本当にありがとう
 私どうしても
 この神社にお願い事をしたくて来たんです

 お願いしたらすぐ帰るので
 ちょっとだけ人間界にお邪魔させてください」



そう言って私が拝殿に向けて歩いていると
彼が私の腕をつかんだ



「待って!」



「え?」



「その願い事って
 本気で叶えてほしいこと?」



「?」



「この神社
 一生に1つしか願いを叶えてくれないって
 有名なんだ

 本当にそのお願いでいいの?」



いいに決まってる!
私はそのために来たんだから



1年に3人しか受からない
魔法学校の先生になれますようにって




でも彼の真剣な眼差しに
また吸い込まれ
拝殿に向かう私の足が動かなくなってしまった



「教えてくれてありがとう・・・
 もう一度考えてみる・・・」



彼は満足げな笑みを浮かべた



ドクドクドクドク
私の心臓が
すごいスピードで動いている



きっとこれは
危険信号だ!!



早く彼から離れないと
取り返しのつかないことになってしまう!!