365枚のラブレター


そんなこんなであっという間に10月



昼休み
歩君とお昼と食べているとき

「今度の日曜日、
クララ、一緒に行ってくれない?」



「ん?どこに??」



「兄ちゃんの・・・結婚式・・・」



え??



歩君のお兄さんの結婚式ってことは
歩君のお父さんやお母さんも
いるってことでしょ・・・



どうしよう・・・

どうしよう・・・



「尊(みこと)兄ちゃんと、花純が結婚するんだ

 チャペルでの挙式だけでいいから
 クララにも来てほしい」



「・・・なんで?
 なんで私に来て欲しいの?」



「・・・・それは・・・言えない・・・」



言えないって、どうして?



私の心がチクチク痛む




花純さんって・・・
私と出会うまで
5年間も片思いをしていた初恋の人だよね



もしかしたら
まだ花純さんのことを引きずってるのかな?



お兄さんたちの結婚を
素直に喜べないのかな・・・



私が隣にいないと
花純さんへの思いがごまかせないって
ことかな・・・



「毎週日曜日は
 奏多のとこの弁当屋は定休日じゃん

 クララ、頼む!!
 挙式に一緒に行ってくれ!」



そんな悲しい目をされたら断れないよ・・・



「うん。いいよ」



「よかったぁ」



私の隣で
歩君は心底喜んでいる



今まで私を大好きって言ってくれる
歩君の言葉を疑ったことがなかったけど

私の存在って
花純さんを忘れさせてあげるためだけに
あるのかな・・・



私を好きって思い込むことで
花純さんへの思いを
ごまかしているのかな・・・



「日曜日、9時に迎えに行くからな」



私は突然襲ってきた心の闇を隠したくて
精いっぱいの笑顔を向けた