(歩side)
クララのバイト先が
美紅さんと奏多のお弁当屋さんなら
俺も安心だ
俺も暇なときに
クララの様子を見にフラって立ち寄れるし
そんな俺が安心してるのもつかの間
「1週間くらい前に
新しくバイトに入った子がいるの
クララちゃんに紹介するわね
ちょっと呼んでくるから」
新しいバイト?
クララのほかに
バイトがいたなんて知らなかった
クララと仲良くしてくれる子が良いなと
思っていると・・・
「この子が、片桐琉生(かたぎり るい)君よ」
片桐・・・琉生・・・??
俺はその名前を聞いてハッとした
俺の同級生で
ソフト俺様系でカッコいいって
女たちにキャーキャー言われてる
隣のクラスの奴だ
「琉生君、こちらがクララちゃんよ
琉生君と同じ高校1年生」
「同い年ってことは
敬語じゃなくていいってことだよな
クララ、これからバイトよろしく」
「え・・・はい
よろしくお願いします」
琉生って奴、なんなんだよ!
速攻クララのこと
呼び捨てにしやがって!
美紅さんの惣菜屋なら
クララを働かせても
何の問題もないと思っていた
それなのに
こんな馴れ馴れしい奴と
クララが一緒に働くなんて!!
「琉生!
クララちゃんは歩の彼女だから、手出すなよ」
「わかってますよ、奏多さん!
俺、美紅さんみたいな
大人な女性がタイプなんで」
「琉生!こいつ!
美紅にちょっかい出したら、俺が許さんからな」
「フフフ、奏多君もハイハイそこまで!
じゃあクララちゃん
奥でもっと詳しいお話ししましょうね」
「はい、お願いします」
クララはこの惣菜屋で働けることになって
本当に嬉しそうだ
目をキラキラさせて
美紅さんの話を真剣に聞いている
それなのに俺は
美紅にこの店で
働いて欲しくないと思っている
これからクララは
琉生って奴と一緒に働くのか・・・
ダメだろ!俺!!
クララが人間界で生きるために俺にできることは
協力するって決めただろ!!
それに
クララは俺が好きって言ってくれてるんだ!
信じてあげないでどうすんだよ!!
琉生に近づいて欲しくない気持ちを隠し
俺は精いっぱい良い奴ぶった
「クララ、バイト頑張れよ」



