「あの・・・すいません・・・」
人間界の地図を片手に
迷いに迷って
やっと目的地に着いた
私が人間界でお世話になる寮
「あら、あなたがクララさんね
魔法界の女王様から
あなたをお願いされたのよ
私、寮母のマリア。よろしくね」
「クララです。よろしくお願いします」
「そしてこっちが、娘の舞(まい)よ
クララちゃんと同じ年なの」
「舞です。
部屋も同じだから、仲良くしてね」
うわ!
舞ちゃん!美人!!
目が切れ長でキリっとしていて
背も高くてモデルさんみたい!
私は150センチあるかないかだから
20センチくらい身長差がありそう
「舞!いろいろ教えてあげてね。任せたわよ」
そう言うと
洗濯かごを抱えて
マリアさんは行ってしまった
「クララって呼ばせてね
この寮は
魔法界の人が人間界に住むためのものなの
人間界に仕事に来ている人が
あと3人住んでるのよ」
「舞ちゃんは、魔法使い?」
「そう!
お父さんもお母さんも魔法使い
代々我が家は、人間界で寮をしているのよ
でも人間界では、私たちも魔法が使えないの」
「そうなんだね」
「クララ、今なら間に合うよ!
魔法界に戻るなら、今しかないから」
「え?」
「魔法界の人が人間界に住むのって
並大抵の努力じゃ住めないの
今までも何人もの魔法界の人がこっちに来て
壊れてしまったのを見てきたの
でも
魔法界に帰る場所があったから良かった
あなたは違うでしょ?
人間に恋をしたってことは
魔法界に逃げられないってことでしょ
今ならまだ間に合うから
魔法界に戻った方が良い」
「舞ちゃん、ありがとう
でも私、歩君と生きていくって決めたの!」
「・・・そう。
まぁ、クララがそれでいいって言うなら
いいんだけどね」
「心配してくれてありがとう」
「そうそう、ここは男子禁制だから、
男の子は連れ込めないからね」
「わかってるよ」
この舞ちゃんが
私の一生の友達になるとは
この時はわからなかった



