365枚のラブレター

(歩side)

「クララは
来てくれるだろうか・・・」



今日が約束の日



俺は朝から言霊神社にいるが
もう夕方

クララがくる気配はない・・・



俺はこの一週間
真剣にクララとのことを考えていた



クララと付き合うということは
一生一緒にいる相手を
クララに決めるということ



魔法界で生きてきたクララと
人間界で生きてきた俺とでは
考え方や常識も違うだろう



それでも俺は
クララと一緒にいたい



俺の隣には
ずっとクララがいて欲しい



その時
チリンチリンチリンリリリン

五千個もの風鈴が一斉に揺れ出した

あの時と同じだ

クララと出会った時と・・・



突然ドアが現れ
クララがゆっくりと顔を出した



「また
 人間界の時間を止めるの
 忘れちゃった」



俺がこの一週間
ずっと会いたいと願っていた子が
俺の目の前に現れた



「もう、クララに会えないかと思った」



俺はクララに会えた嬉しさで
顔が固まってしまった



それなのに涙が1粒
つーっと頬をつたっていた




「私ね、この一週間ずっと悩んでた

 魔法界は捨てられない
 でも、歩君と一緒にいたい

 どうしたらいいのかって」



「うん」



「歩君は、本当に私でいいの?」



「え?」



「私人間界のこと、全くわからないよ」



「うん」



「人間界で生きるのにいっぱいいっぱいで
 歩君に八つ当たりしちゃうかもしれないよ」



「うん」



「私と付き合ったら
 一生私と一緒にいるってことだよ!
 それでもいいの?」



いいに決まってる!


俺はクララのことが
大好きでしょうがないんだから!



俺はクララへの気持ちが止められなくて
気づいたらクララを
きつく抱きしめていた



「クララが人間界で困ったら
 俺が絶対助ける!

 辛いことがあったら、俺が抱きしめる!

 楽しいことがあったら
 一緒に笑ってもっと楽しくさせる!

 だから・・・クララお願い・・・

 俺と付き合って・・・」




「・・・うん・・・」



「え??
 今のって・・・?」



「私も歩君とずっと一緒にいたい
 こんな私で、本当にいいの?」



「クララが良い!クララのこと大好きだから」



「あゆむ君・・・私も大好き・・・」




お互いの視線が絡み合い
もっと強く
歩君は私を抱きしめてくれた



クララは俺を選んでくれた



魔法界を捨て
全く知らない人間界で
生きる覚悟をしてくれた



俺はクララのためにできることは
なんでもしてあげようと思った



クララが
人間界に来て良かった
俺を選んで良かったと言ってくれるように



「俺の5年間の願い、叶っちゃった」



「え?」



「なんでもない」



俺はクララの潤んだ瞳を見つめ
その瞳に引き寄せられるように
クララにキスをした