【番外編 その2】
PlayBack Ⅱ―王子の武器は牛乳ビン―


お昼のお弁当の時間が、自分にとっては、ひどく苦痛でしかなかった。

その原因は、前の席に座る、こいつのせい以外の何者でもない。

うちの中学では何故か、それぞれ自分の席でなければならない、という決まりがあった。

そのせいで、場所を変えて移動することもできず、ある事に仕方なく耐えていた。

水川の嫌がらせに、耐えていた。

前の席に座って居る「こいつ」とは、水川のことだ。

席替えで、偶然にもこのような席順となってしまった。

なんて、不運なことだろう。



「さあさあ、今日も楽しい昼飯の時間やで」



今日も水川は、自分の方を振り向いて、自分が弁当を開けるのを待っている。

そして、奴の掛け声に近辺の、水川グループの男子等も視線をこちらに向ける。

何のためにそんなことをしているのか、自分には全く理解し難かった。

とりあえず、奴のことなど無視をして、弁当を開く。

自分は、弁当箱だけを視界に入れていた。

すると、視界に別の物が入り込んだ。

しかし、それはすぐに箱の中のウインナーを捕らえて、消え去った。

視線を上げれば、目前で水川が卑しく笑んでいる。

ひどく不愉快だ。

でも、食べられることについては、特に構わない。

ひたすら、自分は無言を通す。

そして、なるべく気にしない様に、箸を取り出す。

その時、自分の唇に何かが触れた。