ここは、『オステオスペルマム音楽教室』

 本日の授業を終えた私はホッとする間もなく、ワークショップに向けての準備に追われている。

 ついさっき届いた荷物を開けると、園児達に当日渡す贈り物が袋に分類されて入っている。私はそれを袋から出して個々に組み合わせては、これからひとつずつ丁寧にラッピングしていく予定。

 作業に取り掛かろうとしたその時、スマホが鳴った。

 スマホには、『ドレス着たよ』の文字----『恥ずかしい』の文字が続く。

 ユウさんから送られてきたメッセージにはドレス姿、正確にはドレスの部分しか映っていない。

『全部、見たい』とメッセージを返すと次に送られてきた写真も、これまた同じ、顔が映っていない。


「そうじゃないってば!」


 写真に写るドレスの胸元は大きく開き、ユウさんの首元、そこにはもう何もない。
 
 あの日、私がユウさんの首筋につけた印、赤い花は数日経つと跡形もなくきれいに消えていた。

 あの時、私は私を見つめるユウさんの甘い瞳に酔いしれ、沸き立つ衝動を押さえられなかった。

 私はあなたに惹かれ、あなたを心から欲しいと想った。

 今まで欲しいと思ったのは、この世にただ一人、貴方だけだった。

 貴方……