画面に映る、彼方と私……私は電源を切り、スマホをテーブルに置く。

 戎家社長の話では、世間に注目されファンもどんどん増え続けている今、これからはもっと大きな会場でのコンサートを行う必要があり、それも時間の問題だと言う。

 今決まっている来年のスケジュール----年明け早々にアルバムの発売、その後は全国ツアー、そしてツアーの合間に開催されるイベント参加。

 来年はこの私にとって「飛躍の年となるに違いない」と、私への力の注ぎようは今まで以上のものとなる。そう言えば、今日ここに集まっているスタッフの人数もいつもよりも多く、知らない顔の人がたくさん居て、室内に緊張感が漂う。


「……

 大体のスケジュールは、今のところこれで
 その都度対応していきましょう

 では、今年も残すところひと月
 皆、気を引き締めて頑張っていきましょう」


 本日のミーティングはお終い、私はこの後のスケジュールを確認するために社長の傍へ近寄る。すると社長と話す見慣れない男性の姿が在った。年の頃は、40代ぐらい?


「社長、では、ユウの仕事納めは
 年始特番の撮影のみでよろしいですね」

「ええ、そうね、管理の方よろしく頼むわ
 
 ユウ、紹介するわ

 彼、芝野君
 あなたの新しいマネージャーよ
 
 これからはあなたのことは全て
 彼に任せます」