「宮本家と蘭家の子供たちは"いとこ同士"ってのもあるけど、母親同士が昔から仲が良くて、しょっちゅう行き来してたせいか、みんな兄弟姉妹のように育ったんだ。みんな歳は離れていても遠慮しない関係だな。だからかもしれないけど、親達には別の心配があるんだよ」

別の心配、か。
シュウにぃは本当にまだ、私のことを……?
じゃあどうして6年の間、全く連絡もなかったんだろう?
もう、とっくに心変わりしていてもおかしくないのに。
だって、音沙汰なかったお陰で私の方は忘れかけていたんだもの。
それに、そこまでして想ってもらえるほどのいい女である自信はないし。

「例えば、修と蘭さんが結婚という話になれば、どちらの親も反対するってことですか」

け、結婚?
なんでそんな話に!!
あり得ないわよ絶対に……。

「無い!無いわよ、無いに決まってるじゃないの!!」

何を言い出すのよ、なんで私が…。



「まぁまぁ落ち着けって、まひろ。翔の言う通りだよ。仲が良すぎて恋愛関係や結婚なんてことになるのを一番心配してる。うちの母さんは特に、まひろのことが心配なんだと思う」

「え、伯母さんが私を?」

イチにぃやシュウにぃよりも、私のことが心配だなんて。

「まさか伯母さん、私がイチにぃやシュウにぃをたぶらかしてるって思っているんじゃ……?」

黙って聞いていた佐伯主任が、ブッと吹き出した。
肩を震わせて笑いを堪えようとしてるらしいけど、堪えきれてない。

な、なにがそんなに可笑しいの!?
私は真面目に……。

「ま、まひろ……誰がそんなこと心配すんだよ。勘違いも甚だしいな。おぃ翔、そんなに笑うんじゃねえよ。くっ……」

ちょ、ちょっと!
イチにぃまで、笑い出したじゃないの!!

「もう!2人とも、真面目に聞いてよ!!」

なんか、緊迫していた空気が一気に柔らかくなってしまった。