「母子家庭?」

父さんが用意した、お好み焼きともんじゃ焼きを焼いたり食べたりしながら、双子の話を聞く。

「10年くらい前、俺たちが幼稚園に通ってた頃に両親が離婚して。な、新」

「まだガキだったから、あんまり覚えてないんだよな。信もだろ」

「今日はうちに来て良かったのか?お母さんひとりなんじゃ」

「母は昨日から検査入院です。それに、僕たちには年の離れた姉と妹がいる。5人家族なんです」

「検査入院って、どこか悪いのか」

「昔から身体は弱かったみたいです。毎年、検査で1週間ほど入院しないといけないって。最近調子良さそうだったし、心配ないですよ」

「姉貴と妹も今日は外食するって言うから。今日はラッキーだったな、信」

「当番しなくてよかったし、こんな美味いお好み焼きを食べられたし。新、今度うちでもやろうぜ!」

「よかったら持って帰れよ。ほら、翔真どんどん焼いてやれよ」

「まったく、人使い荒いなもう!」

「うちは男は俺たち2人だけだし、今日は男だけで嬉しいよな!」

うちは父さんと2人だから、女がいる家庭っていうものが想像できない。

「ほら、焼けたぞ。新も信もまだ食うだろ?余ったら責任持って全部持って帰れよ」

「ありがとうございます翔真さん。あの、先生はビール飲んでるのに翔真さんは飲まないんですか」

「俺は外で飲む機会が多いから、家ではあまり飲まないんだ。それにお前たちを送っていかないといけないだろ」

「え、いいんですか?」

「なに遠慮してんだよ。あんまり遅くならないように送ってやる。ちゃんと電話しとけよ。姉ちゃんいるんだろ」

「はい。新、姉貴に電話してくれよ」

「さっきしたから、メールにするよ」

「食事は当番制なのか?」

「俺たちと姉貴の3人で交代です。出来ないときは代わってもらったりして。姉貴が最近仕事忙しいみたいでシフト乱れまくってますよ」

シフト……バイトみたいだな。