「私は空いてますけど。2人でってことですか?」

「そうだよ。俺、有田さんをデートに誘ってるんだけど」

「………デートって!」

「もう昼休み終わっちゃうな。で、返事は?『はい』か『YES』か5秒以内で答えて」

「は、『はい』?」

「よっしOK!今日は何時くらいに終わりそう?」

「えっと、19:00くらいには」

「じゃ、会社の裏のスタバで19:30頃に待ち合わせようか。いいかな?」

「はい。承知しました」

「プッ。なんか仕事の話してたみたいだな。じゃ、終業後に」


──終業後。

スタバに先に来た俺がコーヒーを買って席に着くと、直ぐに有田さんもやって来た。

「お待たせしてすみません課長。それ、抹茶の!」

「"抹茶・クリーム・フラペチーノ"だよ」

「私も今日は抹茶の気分だったんです」

「じゃ、これ買ったばかりだからどうぞ。同じの買ってくるから」

「いいえ、そんな!」

遠慮する彼女に反論する隙を与えず、もう一度"抹茶・クリーム・フラペチーノ"を買ってきた。

「さ、これ飲んだら移動しよう。店は勝手に決めといたけど」

「ありがとうございます。戴きます。あ、美味しい!」

「そう、それは良かった。でも俺にはちょっと甘すぎたかも。次は別のやつにしよう、うん」

「じゃ、今度は私に御馳走させてください」

「……OK。楽しみにしとくよ」

会社の最寄駅の近くにある小洒落たイタリアンの店に来た。

「わあ、素敵なお店ですね。あ、もしかして来週の下見も兼ねてました?ここなら、まひろんも喜びそうですけど」

「いや、違うよ。アイツならこんな洒落たとこじゃなくて居酒屋とかで充分だ」

「え………。そうですか?」

納得行かないように首を傾げる彼女。

「しかし、アイツが『まひろん』か。マカロンみたいだな。有田さんは、まひろと同級生なんだよね?」